本の内容

大半の人は、人間に死はつきものだと思っていて、深く考えることはない。 そして人生が無限であるかのように毎日を生きる。 でも自分の死を確信し、そのときを迎える心の準備ができたとき、 初めてどう生きるべきかを学ぶことができるのだ。

高校の英語教師として生徒たちから厚い信頼を受けているダヴィード・メナシェは、脳腫瘍に冒され余命宣告を受ける。その後6年に及ぶ病魔との闘いの末、視力、記憶力、身体の自由を奪われた上、生きがいであった教職を去ることを余儀なくされる。しかしメナシェは、教育者であり続けることを諦めなかった。すべての治療を止め、先の困難な道にひるむことなく、人生という名の新たな教室に踏み出す。 「一人でアメリカを旅しながら元教え子たちを訪ねる」という大胆な計画をフェイスブックで発表するメナシェ。「僕は彼らの人生に影響を与えることができたのだろうか。この目で確かめたい」と、麻痺した身体を杖で支え、バスや列車を乗り継ぎながら、マイアミ・ニューヨーク・米中部・サンフランシスコまでの約1万3000キロの旅路で、大勢の教え子たちとの再会を果たす。メナシェがたどりついた人生の教訓とは?

プライオリティ・リストとは?

自分が大切にしている価値観について優先順位をつけたリスト。 そもそもはメナシェが考案した授業課題で、取り上げた作品の登場人物たちがどのような価値観を重視していたか順番を考えることで、相違点や共通点を見つけるものだった。 それが生徒自身のリストにも発展。自分という人間に改めて気づかせたり、生徒同士が互いに尊重し、共感する気持ちを育む機会となった。
病気が発覚した後、メナシェが自身の本音に気づく重要な場面でも登場する。
リストのキーワードは、「家族」「仕事」「愛情」「プライバシー」「富」「冒険」「友情」「安心」「自立」「旅」「教養」など。

推薦者の声

愛、親子、夫婦、感謝、そして奇跡を描いた、美しく、心に触れる、誰にとっても大切な物語。

ー 『食べて、祈って、恋をして』著者 エリザベス・ギルバート ー

旅に出た。道連れは頭の中にいる。彼の名前は「脳腫瘍」。 凄まじい苦痛と余命を伸ばして、全米に散っているかつての生徒の元へ。 自分も一緒に行くつもりらしい。 代わりに勇気と諦めない心をくれた。 だから、旅はまだ続いている。

ー 『3年B組金八先生』脚本家 小山内美江子 ー

著者について

ダヴィード・メナシェ David Menasche

青年時代は文学とパンクに明け暮れ、将来の目標もなく過ごしていたが、教師という仕事に出会い、強い使命感を抱く。大学卒業後から、マイアミ市内にあるマグネット・スクール、コーラル・リーフ高校の英語教師として15年間教壇に立ち、2012年には同地域の「最優秀教師」に選出された。ニューオーリンズ在住。

生徒から見たメナシェ先生(本書より抜粋)

メナシェ先生は人生に一度出会えるか出会えないかという先生です。学校を卒業した後も、教えてくれたことがずっと心に残り続ける、そんな先生なのです。私たち生徒を尊重してくれたし、私たちも先生をとても尊敬していました。だって、授業中に友人と手紙のやり取りをしても構わない、だなんて普通なら言わないでしょう。「僕は英語教師だからね! 生徒に読み書きを勧めるのは当然だろ?」って。でもみんな先生の授業に夢中で、友達に手紙を書いている人はいませんでしたが。先生の一言一句を吸収したい、学びたいと思わせる授業でした。
だから先生がいなくなってしまうなんて、ましてや、それから何年も病に苦しまなければいけないなんて耐えられなかった。どんな言葉をかけるべきなのか、何をすべきなのかわからずに泣くことしかできなかった。そのとき、先生が言ったひと言を私は一生忘れません。
「心配いらないよ。僕にまかせて」
あのとき以上に誰かを誇りに思ったことはありません。

―ジゼル・ロドリゲス コーラル・リーフ高校 2008年卒業生―

メナシェ先生は何を勉強すべきかだけでなく、学び方や勉強を好きになる方法を教えてくれた。

―アドリアナ・アンギュロ コーラル・リーフ高校 2008年卒業生―

僕にとってメナシェ先生の授業は、自分の世界観や考えを安心して言葉にできる場所だった。「君たちはもう子どもじゃない。だから僕も子ども扱いはしない」それが教室に入ってきた先生の第一声だ。教師だから生徒に尊敬されて当たり前にはならない、そんな先生の考え方が大好きだった。
メナシェ先生が元教え子たちに今も昔も尊敬され続けるのは、先生が僕たちに敬意、愛情、寛大さを見せてくれたからだ。自分が学び、見上げる存在だと感じる教師とそんな絆を持てば、いつだってベストを尽くしたいという気持ちになるものだ。

―ジェレル・タイロン コーラル・リーフ高校 2010年卒業生―

メナシェは、私たちが人生で大切な時期を過ごしていること、そして今の決断が今後にどれだけ影響するのかを教えてくれました。負っている責任の重みを理解させ、エッセイや質問やプライオリティ・リストを通して、その責任を果たすあと押しをしてくれたのです。(中略)
高校時代は大人から何かと意見を押しつけられるものです。大人は若者が興味を持つことには眉をひそめ、友人、成績、お金、周りからの評判などの価値観に口をはさむことばかりで、自分の主義主張で延々とプレッシャーをかけてくるのです。まして、自分の価値観を一から築き、自分でプライオリティを見極めなさい、と言ってくれる大人に出会えることなどそうそうありません。
プライオリティ・リストの作成には、自分自身を見つめ、大切にしているものが何なのか自問自答しなければなりませんでしたが、大人たちが押しつけるプレッシャーや不安とは無縁でした。将来どんな大人になりたいのかを考えるために、自分という人間を知るひとつの方法だったのです。

―メリッサ・レイ コーラル・リーフ高校 2012年卒業生―

メナシェ先生、あのときしつこく言ってくれてありがとう。先生は私の中に自分の人生を生きるという種を蒔いてくれた。あんなことを言ってくれたのは先生が初めてでした。高校を卒業した後に出会った人たちが、その種に水を与えてくれました。そして今日の私があるのです。

―アンジャリー・ケムラニー コーラル・リーフ高校 2005年卒業生―

学生の頃にしてくれたこと、どうもありがとう。そしてクラスに優しく迎え入れてくれたこと、ありがとう。10代からその後大人になるまで、将来どんな人間になりたいのか、自分のアイデンティティを探しながら葛藤していた私の苦しみを和らげてくれて、ありがとう。学生の頃はいつも男の子、友達、両親、大学のことを一緒におしゃべりしながら、優しく私を気遣ってくれてありがとう。どんな困難が待ち構えていても絶対に夢を諦めるな、と励ましてくれてありがとう。最後に、教師という言葉が持つあらゆる意味で、教師であり続けてくれてありがとう。先生の生徒になれて本当に幸せ者です。今でも先生に教えられ、鼓舞され、励まされています。出会えたことをとても光栄に思っているし、会いに来てくれて嬉しかった。ありがとう、メナシェ先生。たくさんお世話になってます!

―モナ・タジャリ コーラル・リーフ高校 2001年卒業生―

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